「古の武術から学ぶ老境との向き合い方」を読んでみた

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こんにちは。古武術研究家、甲野善紀先生の「古の武術から学ぶ老境との向き合い方」を読んでみました。

十四、五年前から古武術に関心があり、ラグビーに活かせないかな、と思っています。バスケットボールの桐朋高校、ジャイアンツの桑田真澄投手の復活など、甲野先生の指導は有名です。

古武術の体の使い方を他のスポーツや生活に活かすこと、今や、介護の現場でも導入されているということです。

甲野先生は、二十一歳で「人間の運命は完璧に決まっていて、そして完璧に自由である。」と確信されたそうです。これが先生の人生のテーマ。難しくて、私には良くわかりません。

シナリオのように決まっている面と、全く真っ白な面がある、とおっしゃています。自分の行動は自分で決めている、と言っても、今の脳科学では、自分の脳がすでに99.9%のことを決定しているとも。科学的。

筋トレにも違和感を感じている、と。ただ単に重いものを上げ下げしていることに、何の必然性があるのか、と。また、筋力が増すことと、いろいろな動きができることは別である、と言っておられます。

「力だけでなく、働きのある筋肉をつくり、身体をうまく使えるようになるには、単なる筋トレではなく、興味を持って取り組めるもので、必然性を感じながら身体を動かすことができる状態が不可欠だと思います。」

この辺りは、勉強になります。

また、三十歳の頃の自分が、七十歳の自分に出会ったら、一晩中寝られないほど興奮するだろう、とおっしゃっています。それぐらい、今の方が、技ができる。凄いですね。年取っても、進化している。ただ、先生は、家電と同じで、年数が経って、できることが多くなってきているだけだ、と、淡々とされています。

さらに、「我ならざる我」。人間には、普段意識している「表の意識」と、それとは別の「裏の意識」があり、技を行うときに裏の意識(もう一人の自分、我ならざる我)を身体統制の指揮官とすると、本人が意識していないときに技が出てくるので、受ける相手は気配を感じることができない、というのです。

やはり、達人です。

ま、こんな話や、コロナで、高齢者はどう覚悟して生きるべきか、とか、人間の持つ神秘的、超常現象的な力。科学万能、利便性の追求が優先され、先細ってしまったそのような力を呼び覚ましていただけるような、そんな気分になりました。

現代の侍、のような先生ですので、かなり厳しめ、辛口ですが、ああ、このように感じて、日々生きていきたいな、と思える本でした。


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